中小企業にとってのBCPとは?策定率やガイドラインも紹介

中小企業のBCP BCP
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台風や大地震などが毎年のように発生する日本では、BCP(事業継続計画)の重要性が年々高まっています。特に最近は、新型コロナウイルスの影響により、事業の継続に支障をきたす中小企業が少なくありません。

そのような事態だからこそ、BCPを策定し、類似の事態が生じた場合に備えておくことはとても重要であり優先順位の高い事項であると言えるでしょう。今回は、中小企業におけるBCPの概要や現状、メリットなどを分かりやすく解説します。

中小企業が策定すべきBCP(事業継続計画)の概要

BCP(事業継続計画)とは、災害などの緊急事態による損害を最小限に抑えつつ、事業を早期復旧・継続するための方法を定めた計画です。簡単に言えば「緊急事態時の対応を定めた計画」です。BCPでは、緊急時にどのような対応を取るべきかはもちろん、緊急時に備えて平時から行うべき活動に関しても規定します。

計画には何を盛り込むべきか

中小企業がBCPを策定するとき、一体どのような内容を盛り込むべきでしょうか?BCPに盛り込む内容に関しては、中小企業庁が公表する「中小企業BCP策定運用指針」が参考になります。

この運用指針によると、BCPに盛り込むべき内容として下記の4点が挙げられています*。

  1. 優先して継続・復旧すべき中核事業
  2. 緊急時における中核事業の目標復旧時間
  3. 緊急時に提供できるサービスのレベル
  4. 緊急時における事業拠点や生産設備、仕入品調達などの代替策

上記4つの項目を軸に、より細かく一つ一つ策定していきます。なお運用指針では、従業員とコミュニケーションを重ねながら、BCPを策定するのが好ましいとされています*。

*参照:中小企業BCP策定運用指針 – 中小企業庁

中小企業におけるBCPの現状

そもそも、中小企業はどの程度BCPを認知し、どのくらいの中小企業がBCPを策定しているのでしょうか?この章では、中小企業庁が公表している「BCPに係る取組の現状」を参考に、中小企業におけるBCPの現状をお伝えしたいと思います*。

BCPの認知度

中小企業庁の委託先が行った調査(2015年12月)によると、BCPに関して「よく知っており必要であると考えている」または「聞いたことがあり必要であると考えている」と回答した中小企業は、全体のおよそ60%に及ぶとのことです。

反対に、「聞いたことがあるが必要ではないと考えている」もしくは「聞いたことがなく知らない」と回答した中小企業は、全体のうちおよそ40%弱でした。

このデータより、BCPに関する認知度や重要性の認識は、中小企業の間で二極化していることがわかります。ただし二極化しているものの、過半数の中小企業はBCPの重要性を認識しています。

中小企業におけるBCPの策定率

では、実際にBCPを策定している中小企業はどのくらい存在するのでしょうか。前述の調査によると、中小企業におけるBCPの策定状況は下記の通りです。

  • 策定済み:15.5%
  • 策定中:9.2%
  • 策定する予定がある:10.9%
  • 策定していない:64.4%

15.5%の中小企業がBCPを「策定済み」と回答している一方、64.4%の中小企業では「策定していない」との回答になっています。特に従業員数が少ない中小企業ほどBCPの策定率が低く、10人以下の中小企業ではBCPの策定率はわずか1.3%止まりでした。

多くの中小企業がBCPの重要性を認識する一方で、策定率は低いことが分かります。

中小企業がBCPを策定しない理由

ではなぜ、重要性を認識しながら、多くの中小企業ではBCPを策定しないのでしょうか?

前述の調査では、BCPを策定しない理由に関してもアンケートを取っています。その結果、もっとも多かった回答が「スキルやノウハウの不足」でした。「重要なのは分かっていても、社内にBCPを策定できる人材がいない」という理由により、策定に着手できない中小企業が多いと言えます。

また、「自社にとっては重要ではない」という回答も多く見受けられます。「一般論として重要なのは分かるが、自社には必要ない」と判断する経営者の方も一定数いると考えられます。

中小企業がBCPを策定するメリット

「BCPの重要性はわかったけど、わざわざ策定するほどのメリットはあるの?」

このように考えている中小企業経営者の方は多いかと思います。そこでこの章では、中小企業がBCPを策定するメリットを3つご紹介します。

緊急時の業績悪化や倒産のリスクを軽減できる

あらかじめ緊急事態を想定しておかないと、万が一災害などが生じた際に原材料を調達できないなどの理由で、事業を継続できなくなります。

その結果、業績が悪化したり、最悪倒産することもあります。

一方でBCPを事前に策定しておけば、災害時にBCP通りに行動することで緊急事態による損失から早期に復旧し、事業を継続することができます。

危機管理の意識が高いという良いイメージが付く

BCPを策定することで、取引先や株主から危機管理意識の高さが評価されることがあります。取引先からすればBCPを策定していることで、万が一災害などが生じても事業の早期復旧と継続的な製品・サービスの提供ができるという安心感を持つことができます。

一方で株主の視点で見ると、災害時でも事業を継続し、業績を最低限でも維持できる点で、BCP策定済みの企業は投資対象としての魅力があります。

BCPの策定は、取引や資金調達にポジティブな影響を与えると言えます。

自社の経営戦略や事業内容を見直せる機会にもなる

BCPを策定する際、優先すべき事業とそうでない事業を見極める必要があります。BCP策定プロセスは、自社の事業内容や経営戦略の見直すきっかけにもなります。

製造業では多くの従業員が多様な機会を使い、さらにかなりの額の原材料や仕掛品を保管する必要がありますが、それらに関わる業務プロセスを見直すことで生産性の向上や安全性の向上など事業の価値を大きく上げることにもつながります。

中小企業庁が公表しているBCP策定のガイドラインは役に立つ?

中小企業庁では、中小企業が円滑にBCPを策定できるように、ガイドラインを公開しています。ここでは、記載されている内容を基に、BCPガイドラインの有用性を探ります*。

*参照:『BCP策定のヒント~中小企業が緊急事態を生き抜くために~』のご紹介について – 中小企業庁

BCP策定のガイドラインとは

BCP策定のガイドラインとは、中小企業がBCPを円滑に策定できるように、BCPの概要や具体的な策定方法などを定めたものです。正式な名称は、『BCP策定のヒント~中小企業が緊急事態を生き抜くために~』というものであり、中小企業庁の公式ホームページに掲載されています。

ガイドラインに記載されている内容

ガイドラインでは、BCP策定までの流れを、中小企業の社長がBCPを策定するまでのストーリー形式で紹介されています。単なるノウハウ集ではないため、BCPに詳しくない方でも理解しやすいものとなっています。

ガイドラインの中身は、下記の3部構成となっています。

  • 第I部:BCP初版策定までの道のり
  • 第II部:もしも大規模地震などに見舞われたら
  • 第III部:緊急事態に強い会社を作る!~BCP策定のワンポイント解説~

第I部では、BCP策定のプロセスがストーリー形式で分かりやすく解説されています。第II部では、BCPを策定する重要性とメリットの説明が行われています。そして第III部では、BCPを策定する際に重視すべきポイントや、現時点での事業継続能力の診断を行うチェックリストが掲載されています。

BCP策定に必要な考え方やポイントが網羅的に載っているため、BCPを策定したい中小企業にとって、とても役立つガイドラインでしょう。

まとめ

経営資源が少ない中小企業にとって、災害などの緊急事態は致命的な業績悪化を招きかねません。少しでも致命的な事態を避けるためにも、緊急事態への備えたるBCPは必要不可欠です。ぜひBCPの策定に取り組んでみてください。

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