「BCPにITツールは必須?」「具体的にどんなツールを導入すればいいの?」といった悩みを抱いていませんか?
結論からいえばBCPにITツールは必須といえ、導入すべきツールもある程度確立されています。そこで今回、BCPにITツールが必須といえる理由と具体的なツールについて解説していきます。
BCPにITツールが必須な理由2つ
BCPにITツールが必須と考えられている理由は主に以下2つです。
- 普段から使っていない手段は非常時に機能しづらいから
- 情報・場所・管理の対策にITツールが必要だから
上記2点を理解し、自社の決定権者やBCPのチームメンバー候補に伝えることで、BCPの必要性をスムーズに理解してもらったり注力してもらったりすることにつながります。それぞれ詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
なお、BCPの基本や策定方法は以下の記事をご覧ください。この記事ではBCPに必要なツールについて詳しく解説していきます。
普段から使っていない手段は非常時に機能しづらいから
BCPにつながるITツールはそもそも業務を効率的にしてくれるものであり、普段から使えるものです。そして、普段から使っているITツールだからこそ非常時のBCPに活用できるといえます。
たとえば災害発生時の情報共有の有名な手段として「災害用伝言ダイヤル」がありますが、普段から使っていない手段だけに全社員が使いこなせるか疑問です。参考までに災害用伝言ダイヤルの使用手順をあげると、下図のとおりです。
非常時に上の図の手順を全社員が取れそうでしょうか?そもそも非常時に災害用伝言ダイヤルを使用すると伝えていても、全社員が実際に使用してくれるか疑問が残ります。したがって、BCPに活用できるITツールを普段から使っていくのが重要です。
情報・場所・管理の対策にITツールが必要だから
情報や場所、管理のBCPにはITツールが欠かせないという側面もあります。たとえばオフィスに出勤ができなくなった場合に業務を続けるには、コミュニケーションを含めて情報のやり取りができなくてはいけません。メールを使っている企業は多いですが、非常時にはメールサーバーに負荷がかかったり破損したりで利用できなくなるケースも多々あります。詳しくは後述しますが、社内SNSやグループウェアなどのITツールが役立ちます。
また、出勤ができなくなった場合は自宅やコワーキングスペースで働かざるをえないので、テレワークができるようにITツールを導入しておけばBCPにつながります。ITツールを含めて普段からテレワークができる環境を整えておけば、労務管理もクラウド型のシステムで正確にできるようになるでしょう。非常時でも経営を続けられる体制が事前に整い、労務管理も可能になるわけです。
導入すべきITツールの種類は4つ
BCPに役立つITツールはいくつかありますが、代表的なものは以下の4種類です。
- リモートアクセス・テレワークシステム
- グループウェア・ビジネスチャット・社内SNS
- 安否確認システム
- データ保護・バックアップツール
各ツールについて具体的に解説していきます。
リモートアクセス・テレワークシステム
リモートアクセスやテレワークシステムとは、自社以外の場所から社内ネットワークにアクセスして働けるようにするシステムです。非常時でも社内のデータや資料などを使えるので働く場所を選ばず、BCPに役立ちます。もちろん、普段からテレワーク用のツールとして利用可能です。
ちなみに社外からアクセスするといっても、VPNという仮想的な専用線でアクセスするのでセキュリティ性は高く、だれがいつアクセスしたかも履歴が残ります。データの持ち出しが減れば、情報漏えいのリスクも減ると考えられます。
代表的なツールをあげると、以下のとおりです。
グループウェア・ビジネスチャット・社内SNS
グループウェアやビジネスチャット、社内SNSはそれぞれツールの種類はことなりますが、どれもコミュニケーションや情報共有を効率化するツールです。いずれもメールよりもコミュニケーションが取りやすく、社員の現状やデータ・資料、業務の進捗状況などを管理できます。
インターネットが使えれば非常時にも使えるので、グループウェアなどのITツールを導入しておけば普段から生産性を上げてくれます。ちなみに、各ツールの違いを簡単に紹介すると以下のとおりです。
- グループウェア:コミュニケーションや情報共有、業務効率化の機能が1つにまとまっている
- ビジネスチャット:ファイルやタスク共有もできるが、基本的にチャットに特化している
- 社内SNS:個人・グループチャット、ファイルのアップロードなどができる法人用SNS
代表的なツールをあげると、以下のとおりです。
安否確認システム
安否確認システムとは、非常時に社員の安否を一斉送信メールや回答確認機能で確認できるシステムです。阪神淡路大震災をきっかけに開発され、東日本大震災で注目が集まってきた経緯があります。
先に紹介したグループウェアなどでも安否確認はできますが、安否確認システムは地震の発生時に自動でメールが送られ、安否確認が取れるまで一定間隔で送信が続きます。安否確認のデータはリアルタイムで自動集計され、社員へのメール送信先も複数のデバイス宛に設定可能です。
代表的なツールをあげると、以下のとおりです。
データ保護・バックアップツール
事業を継続するにあたって自社や顧客のデータは必要不可欠なものです。自社内だけで管理していると地震や津波、火災でデータを喪失してしまうリスクがあるので、データの保護やバックアップをしておくのが重要になります。
具体的な手段としては、データセンターやBCP対策ソリューションがあげられます。データセンターは、地震などの災害対策をした施設内にデータサーバーを設置した建物です。電力や空調などへの対策もされており、詳細な場所を公開していないのでサイバー攻撃といったセキュリティ対策もされています。自社でサーバーを管理するよりもコストを削減できるといったメリットもあります。
BCP対策ソリューションは、データセンターの中でもインターネット接続に特化したインタネットデータセンター(iDC)を活用するサービスです。iDCにバックアップをとっておけば、基本的に自社内でデータを管理していて、万が一データが喪失してもインタネットにつなげられればデータを復旧できます。バックアップは事前に設定した期間ごとにされるので、管理の手間なく最新の状態に保てます。
代表的なツールをあげると、以下のとおりです。
まとめ:ITツールを整備して非常時に役立つBCPを!
DXの必要性やパソコンでの業務量が増す一方の昨今、ITツールは平常時の生産性を上げるのに重要な存在になっています。そして、普段からBCPにも活用できるITツールを使っていれば、非常時でもスムーズに事業を継続できる確率を上げられます。平常時の生産性と非常時のBCPのために、ぜひ有効なITツールの導入と定着をはかってください。