【保存版】中小企業強靭化法とは?メリットと申請ステップを解説!

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2019年に施行された中小企業強靭化法は、まだあまり認知されていませんが、中小企業にとって非常に魅力的な支援策が用意されています。例えば、必要性は分かっていてもなかなか導入できない高額な防災設備の費用負担を軽減できたり、信用保険に別枠追加額を設けたりすることができます。つまり、国の支援を受けつつ、非常時の事業継続の可能性を高め、廃業リスクすることができます。

しかし、優遇を受けるには認定を取得する必要があります。そこで、認定の取得方法や中小企業強靭化法の具体的な優遇内容を詳しく解説していきます。

中小企業強靭化法とは、中小企業の事業継続支援策

はじめに、中小企業強靭化法の概要を解説していきます。

中小企業強靭化法とは、中小企業の災害対応力を高めつつ、スムーズな事業継承を推し進めるために、2019年7月に施行された法律です。なお、正式名称は、「中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律」ですが、一般的に中小企業強靭化法とよばれています。

内容は、災害発生をきっかけに事業継続が困難になる中小企業がでないようにするための国からの支援も含めて中小企業の強靭化を図るものです。

具体的な支援としては、優遇税制や金融支援といった複数の優遇措置が挙げられます。中小企業としては、優遇を受けながら自社の事業継続計画(BCP)を強化でき、廃業リスクの軽減と非常時のスムーズな事業継続につながるので、活用したいところです。

次に具体的な優遇措置を詳しく紹介していきます。

中小企業強靭化法の認定を受けた企業の優遇措置

中小企業強靭化法に申請して認定を受けられると、国から金銭的な措置と事業継続力強化のノウハウ提供といった2種類の支援措置を受けられます。

2種類の優遇措置の詳しい内容を解説していきます。なお、詳しくは後述しますが、認定を受けないと優遇を受けられないので、申請ステップもよくご確認ください。

金銭的な措置

中小企業強靭化法の金銭的な措置としては、以下3つが挙げられます。

  • 防災・減災に関する優遇税制
  • 金融支援
  • 補助の実施や補助金採択の優遇

それぞれの詳細を解説してきます。

防災・減災に関する優遇税制

自家発電機や制震・免震ラックといった防災設備の導入に対して、特別償却が可能になります。償却率は20%で、対象となる設備の例は以下のとおりです。

  • 自家発電機や変圧器
  • 防火シャッターやスプリンクラー
  • 排水・揚水ポンプ
  • 浄水装置
  • 衛星電話
  • 制震・免震ラック
  • 止水板
  • 排煙設備

機械設備は100万円以上するものもあり、防火シャッターや排煙設備と言った附属設備も数十万円以上します。今後も定期的におとずれる地震や感染症の流行などへの対策費用を軽減可能です。

金融支援

日本政策金融公庫から低い貸付利率で設備資金を借りられたり、信用保険の補償枠に別枠を追加できたりします。

日本政策金融公庫からの貸付対象は、中小企業庁指定のBCP指針に基づいた防災施設などの整備に限られますが、基準利率は0.65%です。また、貸付限度額も7億2,000万円なので、大規模な設備投資が可能になるでしょう。

なお、信用保険への別枠追加額は、以下のとおりです。

  • 普通保険:2億円の追加
  • 無担保保険:8,000万円の追加
  • 特別小口保険:1,250万円の追加

補助の実施や補助金採択の優遇

ものづくり補助金などに対して加点措置が与えられたり、自家用発電設備等導入事業の補助金の経費を一部補助してくれたりします。

特に、自家用発電設備等導入事業の補助金は、そもそもの補助率が3分の2以内と高くなっています。そこに、中小企業強靭化法の補助も加われば、大部分の費用を軽減して発電機導入を目指せるでしょう。

他社が電気を使えずに各種設備やサービスを利用できないときに、自社では電気を使えると、ビジネス面でも社員の安全面でも有利になります。いざというときの信用確保と事業継続への投資をお得にできるので、ぜひ検討してみてください。

事業継続力強化のノウハウ提供などの措置

事業継続強化に関するノウハウを持った専門家の派遣やワークショップの開催といった優遇も受けられます。というのも、中小企業強靭化法ではBCP(事業継続計画)の制定が前提条件となっていますが、現実に有効なBCPを行っていくには専門的な知見が必要だからです。

実際、平常時にきちんとBCPを整備しておかないと非常時に機能せず、中小企業強靭化法の目的も達成できません。そこで、各商工会や市町村が、BCPのノウハウや体制などのワークショップや専門家派遣などをしてくれる優遇措置をしてくれるわけです。

要するに、設備の整備はもちろん、非常時に実用的なBCPの整備の補助もしてくれるのが、中小企業強靭化法の優遇といえます。本格的に中小企業強靭加法の優遇を受けることを目指す場合は、次から詳しく解説する認定取得のステップを確認してください。

優遇措置を受けるための認定取得ステップ

中小企業強靭化法の優遇を受けるには、国からの認定取得が必要です。認定を取得するためのステップは、以下3つに分けられます。

  1. 申請書の作成に向けたBCPの策定
  2. 必要書類の記載と提出
  3. BCPの開始

それぞれのステップの詳細を解説していきましょう。

申請書の作成に向けたBCPの策定

まずは、申請書に記載するためのBCP(事業継続計画)を策定しましょう。策定にあたっては、詳しい手順書が用意されているので、ぜひ活用してください。

ちなみに、BCP策定の要点は以下のとおりです。

  • 事業継続力強化の目的の検討
  • 災害リスクの確認・認識
  • 初動対応の検討
  • 人・物・カネ・情報
  • 平時の推進体制

手順書を参考に、上記5つの内容が策定できたら、次の必要書類の記載と提出を実施します。

必要書類の記載と提出

中小企業庁の専用ページから申請様式をダウンロードし、策定したBCPの内容などを記載します。

なお、記載時のポイントが複数ありますが、BCP策定にも使用する手順書に詳しく説明されているので、活用しましょう。

記載できたら、最寄りの経済産業局の中小企業課などに提出します。詳細は、必要書類をダウンロードした中小企業庁のページから確認してください。

BCPの開始

約45日で認定されて、中小企業庁のホームページに事業者名が公表されるので、BCPの取り組みを実際に始めることになります。

なお、申請書に不備などがあった場合は、差戻しや紹介が発生して45日以上かかるケースもあります。余裕を持って、はやめに申請するのがおすすめです。

中小企業強靭化法でいつかくる災害を乗り切る!

中小企業強靭化法の概要や企業にとってのメリット、申請方法を紹介しましたが、参考になったでしょうか?

大きな災害は今後も定期的にくるものなので、BCPに取り組むのは必須といえます。そして、優遇措置を受けながらBCPに取り組めれる中小企業強靭化法は、ぜひとも活用したいところです。

費用負担を減らしつつ非常時に事業継続できる体制を構築すべく、ぜひ今回紹介した情報を活かして、中小企業強靭化法の認定を目指してください。

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