サプライチェーンを考慮したBCPで損害を最小限に!被災に強い企業体質を作ろう

supply-chain BCP
この記事は約7分で読めます。

大規模な災害や事故でサプライチェーンが乱れたのをきっかけに、サプライチェーンを考慮したBCPの策定が必要だと感じていませんか?

BCPの策定やメンテナンスであるBCMなどは基本的にチームでやるもので、経営層の参加も欠かせません。モチベーションの高いチームを作ってBCPを策定していくには、社内で必要性を訴求したり策定方法の知識を取得したりすることが必要です。

そこで今回、サプライチェーンを考慮したBCPの必要性の詳細や事例、作成方法をまとめて解説していきます。

サプライチェーンの崩壊による廃業は想像以上に多い

サプライチェーンを考慮したBCPが必須といえる理由は、被災時の被害や倒産数です。東日本大震災を例に出すと、震災でなんらかの被害や損害を受けて倒産した企業数は2019年までに2021件*と報告されています。

建物や機械などの被害が主な原因と思ってしまいがちですが、実は直接震災を受けて倒産した企業の割合は11.5%にとどまります。一方で、取引先や仕入れ先の被災による仕入れや卸のストップなどが原因で倒産した企業は88.4%です。

東日本大震災に限らず、災害によって業界内で操業がストップする企業が出てしまうと、芋づる式に操業がストップして倒産してしまう企業が数多く出ます。ある1つの製品を作る場合でも、原材料や部品の多くを社外から調達しており、調達先にもさらなる調達先があるためです。もちろん、サプライチェーン内で部品や原料の1つでも欠ければ製品は完成しません。

ちなみに東日本大震災の影響を受けた業界は、下図のとおり非常に多岐にわたっています。製造業はもちろん、無形サービスを提供していてもビジネスプロセスが破綻する可能性があるわけです。

そして、サプライチェーンがストップする原因は地震だけではありません。具体的に原因を列挙すると、以下のとおりです。

  • 自然災害(津波や台風、豪雨など)
  • 感染症の流行(新型コロナウイルスや新型インフルエンザなど)
  • テロや戦争
  • 大規模な事故

上記でもたらされる被害は、建物や機械への直接的なものはもちろん、停電や交通網の停止といったものもあります。海外の場合はテロやデモ、戦争、輸出入の規制などの影響を受けることもあるでしょう。したがって、今どんな調達先からどんな部品を調達していて、供給が止まったときの影響や代替手段はないか、ということを考えておく必要があります。すなわちBCPの作成やBCM、BCMSの取り組みが必要です。

帝国データバンクの調査では、2020年のコロナ禍を経験してもBCPを策定している国内企業は16.6%、BCPの策定を検討している企業も26.6%にとどまります。逆にいえば、BCPをきちんと作成してどんなときでも安定した取り引きができるよう努めているとアピールできると、取引先や取引量の増加などにつなげられる可能性が出てきます。後述する「サプライチェーンを考慮したBCPの作り方4ステップ」を参考に、ぜひサプライチェーンBCPを作成してください。

サプライチェーン維持にBCPが必要と分かる事例3つ

サプライチェーンの維持にBCPの作成が必要と分かる事例を3つ紹介していきます。BCP作成には経営トップ層の積極的な参加が必須なので、説得の材料にしてください。紹介する事例は以下の3つです。

  • トヨタの全国工場の操業停止(東日本大震災)
  • 森永乳業の共有停止や廃棄(北海道地震)
  • グローバルサプライチェーンの混乱(コロナ禍)

それぞれの詳細を解説していきます。

トヨタの全国工場の操業停止(東日本大震災)

トヨタは全国に工場を持っていますが、東日本大震災でサプライチェーンの寸断を経験した企業です。トヨタの調査によると1995年の阪神淡路大震災よりも多い被災状況とのことでしたが、東日本の一部の被災でグローバルの生産車両の8割に影響を出したとされています*。
*引用:第1項 東日本大震災の発生|トヨタ

もちろん、トヨタに限らず自動車業界の企業はサプライチェーンの寸断対策をしていました。しかし、平常時の経営が長引くにつれて効率化や低コストが追求され、下図のように業界全体でサプライチェーンBCPが破綻していたとされています。

サプライチェーンBCPの作成はもちろん、陳腐化の防止をするためのBCMやBCMSの取り組みの重要性が分かる事例です。

森永乳業の供給停止や廃棄(北海道地震)

森永乳業は、2018年の北海道地震で自家発電設備のない拠点で廃棄処分などを経験した企業です。森永乳業の買い取りが停止、停電や断水もしたことから牧場などの生産者も大打撃を受け、根室管内では1日あたりの損失が少なくとも2億円だったとされています*。
*出典:生乳、廃棄する牧場も 停電で出荷先操業停止 北海道地震|朝日新聞

生乳などのサプライチェーン寸断は、一部の乳製品が品薄になるといった形で全国に波及しました。酪農は北海道の基幹産業ですが、下図のような生産量の状態でBCPがなければ、北海道でトラブルが再び発生した際には同じような被害や機会損失が発生することでしょう。

グローバルサプライチェーンの混乱(コロナ禍)

グローバルレベルでサプライチェーンが混乱することもあります。2020年からの新型コロナウイルスの世界的な流行では、下図のようにグローバルサプライチェーンが寸断されました。

各国のサプライチェーンが寸断された結果、自動車やIT、医療用品、食品など、多くの業界に影響が出ました。

サプライチェーンを考慮したBCPの作り方4ステップ

サプライチェーンを考慮したBCPは、以下4ステップで作成可能です。

  1. 自社をとりまく現状の把握
  2. サプライチェーン崩壊時の影響を検討
  3. 代替手段の模索
  4. 継続する事業の選択と方針決定

各ステップの詳細を解説していきます。なお、全ての基幹となる大本のBCPの作り方は、以下の記事を参考にしてください。

自社をとりまく現状の把握

まず、自社をとりまくサプライチェーンの構造を今一度知るのが重要になります。予想以上に部品や原料の調達先が分散されていないといったリスクがあるためです。トヨタの東日本大震災の例のように、リスクが分散されていると考えられていても、実体はハイリスクになっている場合が多々あるわけです。

仕入れ先や生産先の場所や依存度などを明確にする必要があります。また、自社商品の販売までに必要なもの1つ1つに対して、どのような状況になると入手困難になるかなどを可能な限り具体的かつ詳細に分析をするのが重要です。

サプライチェーン崩壊時の影響を想定

現状分析で依存度の高いものが見つかったら、どのくらいの期間調達できないと、どの程度の損害が出るかといった影響を想定します。経営への影響が大きいものほど重要度が高いといえるので、調達先を分散化させたり代替手段を検討したりすることになります。

代替手段の模索

影響度の大きいものが分かったら、調達先を増やしたり代替品があったりしないかを模索します。平時においてはコストカットや効率を上げるために調達先や仕入れるものを絞りがちですが、緊急時に事業を存続できないリスクをとっていることを忘れてはいけません。ただし、製造量の減少や質の低下を招くのは避けないといけないので、あくまでもこのステップでは模索や検討にとどめましょう。

継続する事業の選択と方針決定

これまでのステップで判明したことを総合的に判断して、普段から調達先を分けたり代替品を仕入れたりするか、緊急時には操業を止めてしまうかを決定しましょう。単一の事業会社でないなら、影響の少ない事業を止められる可能性があります。

緊急時でも継続する(せざるを得ない)事業を選択し、平時からおこなうことの方針を決定すれば、一旦サプライチェーンを考慮したBCPは完成です。なお、自動車産業の例からわかる通り、定期的な見直しは必須です。以下の記事でBCPのメンテナンスに相当するBCMについて解説しているので、参考にしてください。

まとめ:サプライチェーンBCPの作成で自社の生存率をアップ

まだまだ国内で策定されていないBCPですが、過去の事例から策定の必要は明白です。被害にあったのを機に倒産とまではいかなくても、重要な取引先を失ったりシェアを大きく減らしたりする企業も多数あります。自社で取り組むのはもちろん、プロのアドバイザーの意見も取り入れるなどしてサプライチェーンを考慮したBCPを作成して、自社を存続できるようにしてください。

優遇税制セミナー

タイトルとURLをコピーしました