経営者としてBCP/BCMの必要性を感じ、部下に導入や改善を命じるための情報を収集してはいないでしょうか?
経営者が大筋を命じただけでは、BCP/BCMの失敗リスクが高まります。それは経営者が率先して取り組んでこそ有効な施策や前に進むステップがあるからです。
今回、経営者がBCP/BCMに取り組むべき理由や具体的に何をすべきかを紹介していきます。非常事態への備えとなり、場合によっては平常時のシェア拡大などにもつながるので、ぜひじっくりとお読みください。
BCP/BCMとは?取り組まない企業はどうなる?
BCP/BCMとは非常時に事業を継続させるための計画、マネジメントであり、取り組まない企業は廃業やシェア喪失のリスクが高いと言えます。これは、BCP/BCMに取り組まないまま地震や台風、感染症の流行などの災害に直面した場合、適切な対応ができない可能性があるためです。
たとえば、2020年の新型コロナウイルスの流行を受けて倒産した企業は、335件(7月13日時点)と言われています*。
一方で、新型コロナ流行の影響が避けられないはずの小売や食品業界でも業績をのばした企業があったのも事実です。業績をのばせた要因は、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの取り組みを進めていたことで事業を継続できたことが理由だと言われています*。
*参照:DX改革、企業明暗 コロナで鮮明に – 日本経済新聞
なお、そもそもBCPやBCM自体について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
そして、冒頭で説明したとおり、経営者こそ積極的にBCP/BCMに取り組むべき理由があります。
経営者がBCP/BCMに取り組むべき3つの理由
経営者がBCP/BCMに取り組むべき理由は、以下の3つが代表的です。
- 顧客の信用を失わないようにするため
- 非常時の廃業リスクを自社全体で下げるため
- 従業員の生活を守るため
それぞれ具体的に解説していきます。
理由① 顧客の信用を失わないため
経営者がBCP/BCMに取り組むべき理由の1つとして、顧客の信用を失わないようにすることが挙げられます。
同じ業界の中でも、非常時に顧客との取引・関係を保てる企業とそうでない企業があります。取引や関係を保てない企業は当然信用を失い、その後の経営に大きな影響が出ます。
当然、普段からBCP/BCMに取り組んでいた企業は、非常時に影響を受けるリスクは低くなり、顧客からより大きな信用を獲得する機会とすることさえできるでしょう。
したがって、経営者は平常時に売上や利益、組織体制などを気にするだけでなく、非常時に備えた行動を経営トップとして推進していかなければなりません。
理由② 非常時の廃業リスクを企業全体で下げるため
ビジネスモデルによってはBCP/BCMに取り組んでいないと、廃業に追い込まれる可能性があるのも理由の1つです。
先に紹介したとおり、自然災害や感染症の流行などで廃業に追い込まれてしまう企業は少なくありません。そして、今後も定期的に災害が起こることは避けられず、事業継続に影響が出る事態が生じることも避けられないでしょう。
また、非常時にBCPに則った行動を指揮するのは、経営者です。普段から非常事態に自身と企業が、事業存続に向けた行動がスムーズに取れるように行動していく必要があります。
理由③従業員の生活を守るため
従業員を雇っている以上、非常時には経営者として従業員の生活を守らなければいけなことも、経営者がBCP/BCMに取り組むべき理由です。
場合によっては従業員の命に関わる事態も発生します。たとえば、東日本大震災を直接の原因とする労働災害死亡者の認定数は1,314人です*。
*参照:平成23年の死亡災害・重大災害発生状況等について – 厚生労働省
非常時でも可能な限り事業を継続して従業員の生活を守るのはもちろん、命を危険にさらさないように普段からBCP/BCMに取り組むべきといえるでしょう。
経営者がBCP/BCMを行う際の基本行動4つ
経営者が率先してBCP/BCMに取り組むべき理由を理解しても、実際に取り組んでいかなければ意味がありません。そこで、経営者がBCP/BCMに取り組んでいく際の基本的な行動を4つ紹介していきます。
基本行動①BCP/BCMの重要性を理解し周知する
BCP/BCMの必要性とメリットを十分に理解し、全社的に取り組む理由を周知していきましょう。
具体的には、BCP/BCMに取り組まないと非常時にどうなるかを説きつつ、時間と労力、費用をかけて取り組むべき重要事項としてタスクをこなしていくのが重要です。
なお、基本的なBCP/BCMのガイドラインが、内閣府のホームページからダウンロードできます。また、当サイトでも業種別にBCPのポイントなどを紹介しています。
たとえば、IT業界や製造業界に属しているなら、以下の記事が役に立つことでしょう。
基本行動②経営と連動した基本方針を作る
経営理念やビジョンと連動したBCP/BCMの基本方針を作っていくことも経営者がすべき行動です。
経営理念やビジョンは、企業がどういった存在であるかを明文化したものなので、BCP/BCMが妨げになってはいけないからです。
つまり経営トップとして、BCP/BCMに対してどの程度の経営資源を割り当てるかを決めるといった、経営とバランスのとれた方針を打ち立てなければなりません。
また、実際に非常事態になり、BCPを発動する際には対応の指示や判断を経営者が行います。自分自身が最良の結果を出せるようにするためにも、普段から経営と連動したBCP/BCMを実行していくべきだといえるでしょう。
基本行動③BCP/BCMの施策へ積極的に参加する
BCP/BCMの各施策や会議に積極的に参加することも基本です。
というのも、BCP/BCMは一度決めれば完璧というものではなく、PDCAを回して改善していくものだからです。実際、ビジネスモデルと同様、BCP/BCMも陳腐化は避けられません。
BCP/BCMの点検や是正を経営者自らが行い、社員一丸となってBCP/BCMに取り組む姿勢を維持したり、方向性を明確にしたりしましょう。
基本行動④顧客増大や収益拡大につなげる
BCP/BCMに取り組んでいることから、非常時に事業を継続できることを顧客に訴求し、平常時の顧客増大や収益拡大につなげることも経営者が取るべき行動です。BCP/BCMに取り組んでいるということは、非常時の事業継続能力が高いということなので、顧客からの信頼獲得につなげられます。
商品や営業力以外で、取引先やシェアの拡大につなげられる可能性があるので、ぜひ経営トップとしてBCP/BCMへの取り組みを訴求し、顧客や収益拡大につなげてください。
今こそ経営者がBCP/BCMに取り組もう
経営者が率先してBCP/BCMに取り組むべき理由や基本行動を紹介してきましたが、参考になったでしょうか?
BCP/BCMの効果が出る機会はそうそうありません。しかし、非常時になったときに大きな成果となって返ってきます。そして、BCP/BCMに取り組んでいることから、取引先の信頼構築に努めるといった平常時の経営に効果的な行動も取れます。
ぜひ今回解説した情報を活かして、経営トップとしてBCP/BCMに取り組んでください。